2021.09.27

クアッドとインドの取り込み方

米ホワイトハウスで9月24日、日米豪印4か国によるいわゆるクアッドの対面会議が開催された。バイデン米大統領は「『自由で開かれたインド太平洋』の実現に向けてめざましい進展を遂げている」と力説したらしいが、何がどう目覚ましい進展を遂げているかは判然としない。また、菅首相は「日米豪印の取り組みが完全に定着した」と同行記者団に語ったそうだが、何を以って完全に定着したのか、こちらもよくわからない。
クアッドで一番取り扱いが厄介なのはインドだろう。クアッドの目的が中国包囲網づくりだとすればインドが唯々諾々と他3国の思惑通りに動くはずがない。その厄介さの理由を、インドが非同盟中立主義的外交政策国だから、とするのが一般的だが、あらゆる面で中国に首根っこを押さえられているインドにしてみれば、それ以前の問題だ。中印貿易を見れば一目瞭然だ。両国の年間総貿易額は約10兆円だが、そのうちの7割くらいが中国からの輸入だ。対欧米輸出の花、インドが誇るジェネリックの原液(AFI: Active Pharmaceutical Ingredient) の約7割を中国から輸入、また環境問題解決のためとしてEV化推進に躍起になっているがキモとなるリチウムイオン電池のセルもほぼ中国製だ。一方、今年4月30日付人民網日本語版によると「中国製の酸素発生機の第一弾がすでにインドに到着している」とのことだ。事程左様にインドは製造業で中国に依存している。モディ首相は”Make in India”を標榜しているが、実際は”Assemble in India“なのではないか。
そういったタガが外せぬ限り、3か国(日米豪)がいかに立派なクアッドが出来たと言おうが、画餅にしか過ぎない。インドは中国同様メンツを重んじる。それを分かった上で3か国は、インドの中国依存度をいかに軽減してやるかを考えるのが先だろう。もっとも、自分たちだってそうだ、ということならなおさら、日米首脳の言ってることが、言ってるだけ、に聞こえてくる。 (了)

一覧に戻る

contact お問い合わせはこちら