特殊な国インド?
秋たけなわで、この週末の3連休は各地でイベントが行われている。私もある大学の学園祭企画シンポジウム『インド経済の発展』にパネリストとして出させていただいた。まず、学園祭でインドが取り上げられることに喜びを感じ、次に百名以上集まってくださった聴衆の八割以上が一般市民であったことに驚いた。逆をいうと、まだまだ学生などには新興国インドの関心はそれほど高まっていないのかなと一抹の寂しさを感じもした。
パネリストの発表の後、一時間ほどの質疑応答があったが、そこで感じたことは、学生の質問者が何かどうしてもインドの特殊性を聞き出そうという姿勢に思えたことだ。いわく、「日本企業がインドで成功するために成すべきことは何か?」、「インド独特のビジネス慣習とは?」などなど。
生意気なこと(私の偏見?)を言わせていただくと、どうも日本の大学というところは技術論に走ってしまい、物の本質を捉えようとすることを教えていないのではないか。マルチ・スズキのバルガバ会長から依然伺ったことだが、日本からの経済ミッションに講演を頼まれたことがあり、バルガバさんは与えられた時間全てを使い「コストカット」について話された。講演会が終わると困惑気味の経済ミッション事務局の方から、「バルガバさん、講演の主旨を勘違いされたのではありませんか」と言われたそうだ。どうも先方は「コストではなく、カースト」について話を聞きたかったようだ。
そこでバルガバさんは「冗談じゃないですよ。世界中どこであろうが、企業の生き残りにはコストカットが欠かせません。事業を成功させるためには、カーストはまったく関係有りません」と言明されたそうだ。そのことはマルチに行ってみればよく分かる。物の本には、異カーストが同じテーブルでは食事をしない、などと書いてあるそうだが、マルチの社員食堂はまったくごちゃ混ぜで、階級やカーストに関係なく、仲間うちで集って、皆が同じものをたべている。本に書いてあることとまったく逆のことが起こっているのだ。
事ほど然様に、時代遅れの解説書などを読みすぎるとろくなことはない。要は、相手の文化や社会生活を尊重し、相手の目線でものを語り、現地に同化することが重要なのではないか。技術論はそれからでも遅くは無い。最も、前者が出来れば技術論など必要なくなると思うが。
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