機能する無政府国家と跋扈する犯罪嫌疑者国会議員
ケネディ大統領(当時)から1961年、アメリカ大使としてインドに送り込まれたのが経済の巨人といわれた故ジョン・K・ガルブレイスだ。そのガルブレイスがインドを称して言った言葉が表題の「機能する無政府国家(functioning anarchy)」で、政府はあれど機能せず。機能しているのは私服を肥やすための議員活動だけ。
インド国会議員には犯罪嫌疑者がドジョウみたいにウジャウジャいて、公開経歴による対象者は543人中128人。ほぼ4人に1人の割合になる。汚職など朝飯前の人たちの集団ともいえる。それを許したのが沈黙するマジョリティーの貧困だろう。
しかし1991年の経済自由化の恩恵か、食えるようにはなった貧しい人や中間層が、汚職まみれの国会議員たちに対する憤慨を表現しだした。既得権を有する富裕層からはそんな動きは出ないだろうが、失うものが少ない人たちの怒りが爆発すれば、富ではなく大票田を使える。相当ピンボケな政治屋でない限り、その辺は察知するはずである。国会議員でなくなればただの人、大きな顔は出来なくなる。したがって、多少なりともましな行動をしようかとなるはず。
これはインドの無政府状態をなくすチャンスである。また世代交代のチャンスでもある。奇しくもソニア・ガンディー国民会議派総裁はガン(と思われる)で病に倒れ、マンモハン・シン首相も高齢(78)で、首相の激務をそうは長くやっていられない。国民会議派の長老で首相になりたくてしょうがないムカジー財務相も歳(75才)だ。
汚職まみれに怒り心頭に発した眠れる貧困層や中間層がマジに怒り出したので、中央捜査局(CBI)や警察が多少はまじめに犯罪者を摘発しだした。全部を捕まえるのはどう考えても物理的に無理なので、右代表がお縄になる。それでもやらないよりはましか。衆愚政治の終わりが始まったとしたら、大変喜ばしことだ。ただし気の遠くなるような浄化作業が必要だろうが。
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