日本はどこに飛んで行くのか
先週、名古屋の隣駅の金山というところで講演をさせていただいた。駅を出たとこの広場で南米から来たと思われるトリオが演奏をしていて、若い頃よく聞いた馴染みの曲が心地よく耳に入ってきた。その一つが、サイモンとガーファンクルがカバーし、大ヒットとなった「コンドルは飛んでいく(El condor pasa)」であった。アンデス(ペルー)のフォルクローレ(民謡)と呼ばれるこの曲には、もともと歌詞は無かったそうだ。その哀愁に満ちたリズムに乗って、南米最大の飛ぶ鳥で霊鳥といわれるコンドルが大空に飛び立つ様が歌われている。
私なりの詩を付けてみれば次のようになる。
「地上にしがみ付いているよりも、大空に飛び立つことだ。
そして不安かもしれないが、未知の世界に賭けてみる。
今そこにたたずむことで、心の安らぎが得られるかもしれないが、
そこは君の永住の地ではないはずだから。
今の君に必要なのは、あのコンドルのように、大空に向かい飛翔すること。
待ち受ける未来がどのようなものであったとしても、君は後悔しないはずだ。
さあ、大地を蹴り、飛び立つのだ。そう、それでこそ君の未来が拓ける。」
世界経済の流れが変わりつつある。18,19世紀、世界の七つの海を支配した英国の経済力は米国に引き継がれたが、その米国の退潮が鮮明になってきた。良くも悪しくも米国追随で生き抜いてきた日本は、今その目をアジアに向けざるを得なくなっている。中でも、急速に力をつけてきたアジアの二大大国、中国とインドとどう関わりあっていくかは、大きな問題だ。その際気になるのが、日印の人的交流の希薄さだ。
中国からの日本留学生が約8万人。それに対するインドからの留学生は5百人足らず。1961年米国大統領になったケネディーは、教育は国防だとし、日本、中国やインドを勉強する若者をサポートするため国防教育法を作り、予算を割いたそうだ。残念ながら、今の日本にはそういった発想は無いようだ。
少子高齢化し、老人大国になる日本。今年5月5日のこどもの日に総務省が発表したところによれば、日本の15歳未満の人口は1725万人。一方のインドは人口の半分が25歳未満で、1歳刻みで2200万人いることになる。日本が今の経済力を維持していくためには、他のアジア諸国との共存共栄の道を模索するしかないと思うが、果たしてそのための施策は施されているのだろうか。日本の専売特許のように言われる「too late」にならぬためにも、長期的展望に立脚した国策が必要だろう。
飛び立たぬ日本、否、飛び立てぬ日本では、これからの若者がコンドルにはなれない。
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