日本の「きぼう」とインド人材
11日、米スペースシャトル「エンデバー」の打ち上げが成功し、日本が1985年に着手した有人宇宙施設「きぼう」の建設が国際宇宙ステーション(ISS)で始まった。20年以上かけた「きぼう」の開発には約5,500億円もの巨費が投じられたらしい。
まず今回、船内保管室を設置し、第2便(5月25日打ち上げ予定の「ディスカバリー」、星出彰彦飛行士が乗船予定)で船内実験室を、そして最後となる船外実験プラットホームは約一年後に打ち上げが予定されている「エンデバー」で運ばれ設置されることになっている。
スペースシャトルの打ち上げに始まる一連の実験は米航空宇宙局(NASA)によるものだが、NASAで拾った興味ある記事が11日付のインド有力日刊紙(The Times of India)に出ていた。予算国会が行なわれているインド上院で、人材開発省担当の国務大臣D.プランデシュワニ氏が発表したものだが、それによるとNASAの技術者の36%がインド人ということらしい。
それ以外にもびっくりするような数字が発表されている。米国内に居住するインド人が、各分野でどのくらいの割合を占めているかというものだが、医者が38%で科学者は12%、米大手企業に勤めるインド人の割合となると、マイクロソフトが34%、IBMが28%、インテルが17%でゼロックスは13%となっている。因みに、2004年現在での米国の推定医師人数は85万人で、インド出身者全米医師協会の登録医師数は4万2千人、これ以外に約1万5千人の医学生と研修医がいるそうなので、米国のインド人医師の数は5,6%と推定される。
これらの数字が正しいなら、まさに恐るべきものである。マイクロソフトでは社員の3人に一人がインド人ということになり、例えて言えば、同社では地球が「サルの惑星」ならぬ「インド人の惑星」ということにもなりかねない。
同紙に拠れば、10日に行なわれたインド上院での上記数字の披露は、プランデシュワニ大臣がインドの高等教育や研究制度がいかに優れているかを説明するために使ったものだという。これらの数字に対して、間違った、否、まやかし数字だとの反論がなされている。NASAもマイクロソフトも国籍別社員数は公表していないし、マイクロソフトのビルゲイツ会長が2003年の訪印時に同社の技術者に占めるインド人の割合を2割くらいと言ったが、推測の域を出ないとの断りがあった。NASAの職員はインド人の割合を4,5%とも言っている。
これらから言えることは、全ての数値が「聞くところに拠れば」的なもので、明確な根拠がないということ。インドの人から受ける説明で気を付けなければいけないのは、まさにここのところで、何か言われても鵜呑みにせず、必ず根拠を示してもらうことである。根拠のない説明は個人的意見や推測、憶測であり、正式なものとして使ってはいけない。使ってしまって間違っていた場合には、咎められるのは情報提供者ではなく、使用者となるからである。
それにしても、米国にいるインド人の割合は、全人口の1%未満である。上記推定医師数が正しく、仮にNASAに勤めるインド人が4,5%で、マイクロソフトのそれが20%程度であったとしても、すごいと認めざるを得ない。実に恐ろしきはインド人パワーか。日本でもインド人人材(人財)の活用をまじめに考える必要がある。
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