思い違いの食文化
お取引先の30周年記念パーティーで先週、大阪に行ってきました。大阪といえば、「食い倒れの町」ですよね。私はインドに転勤になる前、1987年から約4年ほどを大阪で過ごしました。東京銀行(当時)の大阪支店と船場支店に勤務、御堂筋を北から南まで、日中のみならず、5時以降も徘徊していました。
初めての関西勤務で、仕事を覚えることもさることながら、関西の文化と食に大いに興味があったものですから、喜び勇んで行きました。どんぶり物が好きな私は、梅田駅の地下にある食堂に入りカツどんをたのもうとしたのですが、値段の安さに(変な肉でも使ってるのではと勘ぐり)、その店を出てしまいました。そんな事は無いのだと、すぐ気が付くことになるのですが。
さてインドですが、私は当初「インドの食べ物は皆辛い」と思っていました。ところが、必ずしもそうではないのですね。知己を得たインドの友人に誘われて、夕食をご馳走に伺いました。覚悟して食べたのですが、拍子抜けでした。余り辛くないというか、全然辛くないんですね。どうしたものかと友人に聞いてみたところ、インド人でも、そう毎日辛いものばかり食べはしない。まして毎日の食事だから、味はマイルドなものにしている、とのことでした。
偏見と取られると困るし、一般論になるか分からないのですが、私の経験からすると、なんとなく生活水準の高いお宅の食べ物は辛口ではなく、マイルドな感じがします。スパイス=辛い、という方程式は必ずしも当たらないのかなと思います。スパイス=多彩な味のバリエーション、とでも言い換えたら、分かるような気がします。
聞いたところでは、お呼びした客のレベルによって食事を作る際に使うスパイスの種類が多くなったり、少なかったりするそうで、種類の多いほうが歓待の度合いが高いということらしいのです。それだけ手を掛け、味に深みを付けるのだから、そういうことなのかもしれませんね。そして、スパイスの原型も少し入れておいて、客人にどのくらいの種類のスパイスを使ったかを間接的に分かってもらい、歓待の度合いを知らせるとのことです。日本なら、さしずめ料理の品数といったところでしょうか。
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