2008.06.15

モンスーンと農業と経済成長率

例年より2週間ほど早いモンスーンの到来に喜びニューデリーのインド門近くでサッカーに興じる家族

インド気象庁によると15日、例年より2週間ほど早くモンスーンがデリーに到達したとのことだ。これは108年ぶりとなる異例の速さ。農業に従事する人はもとより、インフレが昂進して頭が痛い政府関係者も胸をなでおろしていることであろう。

というのもインドの農業は未だに雨頼みの状態だから、旱魃にでもなれば農産物が不作になり、それで穀物価格などが値上がりし、政権が転覆しかねないからだ。

農業生産の浮沈がどれだけ重要かはインドの経済成長率の推移を見れば一目瞭然である。ここ5年間の経済成長率は03年度から順に、8.5%、7.5%、9.4%、9.6%と9.0%である。一番へこんだときの04年度の農業成長率はほぼ0%であった。

工業やサービス業の成長率はかなりコンスタントなものになってきている現在、インドの成長率のかく乱要因は農業と言っていいだろう。大まかに言って、GDP9%成長を前提にしたときの農水産業の占める割合は、1.5から2ポイント程度ではないか。言い換えれば、農業が4‐5%成長を成し遂げられれば、二桁成長も可能になる。

したがって、インドの人たちにとって、モンスーンの到来は暑さが和らぐと共に、旱魃の恐れがなくなったことを意味し、大いに喜ぶのである。

日本では梅雨時になるとうんざりし、雨が疎ましく思われるが、インドではまさに恵みの雨だ。デリーなどでは4月に入ると40度を超える極暑期になるが、その暑さから逃れるのに、ただただひたすらモンスーンの到来を待つ。雨が降り始めると温度は30度台に低下、過ごしやすくなる。だから、モンスーンがやってくると、濡れネズミになることなど厭わず表に飛び出し、雨に打たれるのである。

経済成長著しいインドだが、灌漑設備などはまだまだ不十分で、電力と共に水の供給問題が依然大きくのしかかっている。農業振興と共に、いかにして一般市民への水の供給を安定させるか、インド政府の喫緊の課題である。

雨中のジョギングを楽しむ女性

近所の家のアジサイの花

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