2014.04.20

モディはインドを変革する起爆剤になれるか

半年前(2013年10月)の各種世論調査ではインド人民党(BJP)が第1党になる予想は出ていたが、友党も含めた国民民主同盟(NDA)全体での予想獲得議席は186議席程度と過半数(272)には手が届かなかった。しかし、昨年12月にモディがBJPの正式首相候補に指名されると状況は一変、モディ・ウエーブがインド全国を吹き荒れることになる。その結果、2月22日にインドのウエッブサイトに出たニールセンの世論調査では、NDAが236議席と、92議席の統一進歩同盟(UPA)を引き離し、NDAの過半数取得が視野に入ってきた。ここまでくると、地方の弱小政党が勝ち馬に乗れと、NDA陣営に鞍替えする可能性も出てくる。

モディはビジネスジェット機を使い全国津々浦々を遊説、変革がインドの窮状を救うと熱弁を振るい、キリスト教団などにも接近、支持者を急激に増やしている。選挙で争点化している反汚職では、モディは自分が首相になった暁には国家のバランスシートの詳細を明らかにすると、透明性の向上を強調している。これに若年層を中心とした支持が拡大。ナレンドラ(Narendra )・モディ(Modi)をもじったNaMoファン・クラブまで作られた。非居住インド人(NRI)の期待値も上がる一方で、昨年末のクリスマス休暇をモディ支援のための帰国休暇に振り替えるというサポーターが1万人を超えたとの報道もある。

3月末、マルチ・スズキ・インディアのバルガバ会長は私(島田)に、「5月16日開票のインド総選挙は“モディ、モディ、モディ”だ。誰もBJPに投票するわけではなく、モディに投票する。彼が首相になれば、規制改革や経済自由化が進み、ビジネスにも弾みがつく」と明言する。ヒンドゥー至上主義の影を薄めたことで、右派の党長老などから反発が出ているが、バルガバ会長は「老害は排除だ。党幹部や若手有力議員なども後押ししている」と明快だった。その老害の一番手とみなされる党総裁や副首相も務めたアドバニは、インド中央部に位置するマディア・プラデシュ州の州都ボパールからの立候補を主張していたが、党は従来から選挙区としていたグジャラート州の州都ガンディナガールからの立候補で押し切った。

マックス・ウエーバー講演録『職業としての政治』には、「政治家にとって何よりも重要な資質が三つある―情熱と責任感と判断力」と記述されている。4月5日にガンディナガールでの自身の立候補届出を終えたアドバニは記者団に、「2014年の総選挙は、全国民が熱望してやまない“変革(change)”を意味する。それができるのはモディだ」とまで明言、モディの情熱と責任感と判断力を裏打ちした。

モディの上げ潮ムードを反映し、インドの代表的な株式指標のムンバイ平均株価は3月に入り連日過去最高値を更新、3月31日には史上最高値の22,386で終り、昨年3月末(18,836)比で18.85%の上昇を記録した。

はたしてこの熱気は本物なのか。モディが選挙に勝利して公約通りの実行力を発揮できるのか。全ては5月16日から始まる。

アグちゃん「デリー、邪魔。落とすよ!」

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やったー! 落ちたー!

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