マンゴーとインド人気質
先週、宮崎で講演をさせていただいた。東国原知事は別格として、宮崎で有名なモノの一つにマンゴーがある。一個数千円から1万円以上するものがあり、たかがマンゴーなどと言っていられない。マンゴーといえばインド産が素晴らしい。特にマンゴーの王様と言われる高級種アルフォンソ・マンゴーの味は絶品だ。絹ごし豆腐のような肉質で、まったく筋が無く、濃密でとろけるような食感は、極暑期を過ごす者に神が与えたご褒美のようにも思える。1個50-60ルピー程度(約140-170円)で、現地の人たちには高価格品になるが、宮崎産マンゴーの値段を考えれば破格の安さだ。
このインド産マンゴーの日本への輸出に関し、90年代初めインド駐在をしていたとき、農林省(当時)からデリーの日本大使館に出向していた一等書記官から面白い話を聞いた。マンゴーの日本への輸出には熱噴霧処理(vapor heat treatment)という特殊技術を使い、一定期間を掛けた害虫駆除の試験結果を提出し、日本政府から承認を得る必要がある。日本政府はインドに対しその特殊技術の導入を持ちかけたが、インド側は自分達で技術開発は出来るとして断ったらしい。その後自国開発が困難と分かったインド側は、日本の規制が厳しいのでインド産マンゴーの輸出が出来ないと日本を非難するようになる。
一度断られた日本人が、インドの気変わりに唯々諾々と応じるはずが無い。また、熱噴霧処理技術を指導できるのはごく限られた業者だけとのことで、インドが技術導入の要請をしたときには、相当待たざるを得ない状況になっていたとのことである。その後、インドへの技術導入も行われ、2年ほど前からインド産マンゴーの日本への輸出が可能になっている。
まさにインドが相手ならではの逸話だ。さっさと日本の好意に甘えていれば、疾の昔にマンゴーの輸出が解禁されていたはずである。インドの人は自信過剰というか、なんでも自分で出来てしまうと思うらしい。インド人と付き合う(ビジネスをやる)場合には、その辺のインド人気質を理解しておくことが必要だ。
マンゴーのうんちく
原産地は、インドからインドシナ半島周辺と推定されている。インドでは4000年以上前から栽培が始まっており、仏教の経典にもその名が見られる。現在では500以上の品種が栽培されている。インド、メキシコ、フィリピン、タイ、オーストラリア、台湾が主な生産国で、日本では沖縄県、宮崎県、鹿児島県、和歌山県、熊本県で主に栽培されている。(出所:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
なお、農林水産省調べ(2005年収穫量)では宮崎県がダントツで665.8トン、第二位が鹿児島県(258.9トン)、第三位が熊本県(86.0トン)となっている。
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