マリナーズの城島選手に学ぶビジネスの流儀
昨年米大リーグ、シアトル・マリナーズに入団した捕手の城島選手は渡米前に英語の勉強をきっちりやっていったらしい。何せキャッチャーという仕事は扇の要のような存在で、投手陣や他の野手とのコミュニケーションが欠かせない。訓練の甲斐あってかなり英語はしゃべれるようになったらしいが、そこで手順を間違ったようだ。すなわち、当初は自分のことを理解してもらうことに腐心してしまったようなのだが、その後、その逆が重要だったことに気付き、今ではマリナーズの中心的選手になっている。その逆とは、「自分のことを理解してもらえるかより、まず相手のことを理解しようと・・・」。信頼を勝ち得るための城島流が実を結び始めた(日本経済新聞2006年3月31日)、ということであったようだ。
相手のことを理解し、相手に良かれと努力する中で、相手がこちらを理解してくれ、相互コミュニケーションがスムースに行くようになり、相互理解が進み、物事がうまく進む。そして成績(ビジネス)も上向くといった具合だ。この辺は、インド人とのビジネスにも通じるような気がする。日本人は良く、「何でかれら(インド人)は、我々(日本人)のことが分からないのか」と愚痴るのだが、インド人に言わせれば、「インドでビジネスをやろうとしているのなら、こっちのことを先に理解しろ」ということになる。こんなやり取りを続けていたらまともなビジネスが出来るとは思えない。
IT(情報技術)産業関連ビジネスなどもこの類ではないのかと思う。日本のIT業界の人たちは、日本流のシステム開発手順をインド側にフォローしてもらおうとする。どっこい、インド側は世界標準の手順でやろうと言う。双方が譲らない場合には、惨めな結果に終わることは目に見えている。お互い自分のやり方に馴染んでいるのだから、相手にそれを要求したくなるのは当然だと思うが、それで求めている結果が得られるのかどうか、そのやり方が永続し、将来にわたって好結果を生み出し得るのか、等々、よく考えてみる必要があるのでは。
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