2008.01.21

フグは食いたし、命は惜しし

先週末、講演で下関に行ってきた。下関とインドとの関係は「?」であろうが、地元の証券会社さんが新型インドファンド販売祈念セミナー関連で呼んでくれたものだ。で、下関とくれば「ふく」である。地元では「フグ」とは言わない。あくまでも「ふく」なのである。そこで、下関で「ふく」と「インド」の関係を考えてみた。

ここからは、書籍からの引用だが、豊臣秀吉の朝鮮出兵の際、フグを食った多くの兵士が中毒死したことからフグ食禁止となり、その後明治21年(1888年)になり、伊藤博文がその禁を解いたとのこと。今年でちょうど解禁120年である。フグの中毒死で有名なのが、1975年1月京都の料亭でフグのキモ(肝臓)を食って死亡した歌舞伎役者で人間国宝だった八代目坂東三津五郎。キモを4人前平らげての大往生というから、さすがは歌舞伎界の大立者。でも、うまいからといって、粋がって死んでしまっては元も子もない。豊臣秀吉も、フグの料理法が分かっていれば多くの兵士を死なすことなく、もしかしたら、朝鮮出兵の戦況も変わっていたかもしれない。坂東三津五郎も、それほどキモに入れあげなければ、国宝としての名演技をもう少し楽しませてくれることが出来たろうに、残念なことである。

さてここからが、フグとインドとの関係だが、フグの料理法も知らずに素人が勝手にフグを食ったら命を落としかねない。また、自分の思い込みで、勝手気ままにやってしまったのでは万事が窮す。インドも同様で、インドのことを良く理解せずに、無手勝流で(アジアの延長線上なんて言って)インドに投資すると大やけど(失敗)をする。そんなところが、似ているのではないかと思う。

すなわち、きちんと料理法を知っていれば、それなりにそのうまさを楽しめるが、中途半端な気持や一方的な思い込みでやると、命を落としかねない。やはり、インド進出に当たっては、その市場分析から現地人の活用、派遣社員の選抜、そして自社としてのインド市場への取り組み方の明確化などが重要だろう。

インドビジネスは難しいとよく言われるが、既に成功している外資の例は沢山ある。そう簡単でないことは確かだが、かといって、そうそう恐怖に怯える必要もないのではないか。「ふく(フグ)」の由来は、外的威嚇のために胃の中にある袋を「膨(ふく)」らませることから来ていると言われる。フグも外敵が怖いのである。以前書いたように、インド人も外資が怖いのかも知れない。だからこそ、相手を分かってやる必要がある。マリナーズの城島選手も、「自分を相手に分からせるよりも、相手のことを知ることのほうが重要」と言っている。

関門海峡に架かる橋

にぎわう下関市地方卸売市場「活きいき唐戸市場」(土・日・祝に開催の朝市・楽市)

「ふく」を「たらふく食って」、「幸ふく」になった。刺身は、やや厚め(ゴージャス)で、コリコリしていた。なべの具は、野菜よりも「ふく」のほうが多かった感じ。

一覧に戻る

contact お問い合わせはこちら