ガラパゴス諸島からの脱出
先週末、講演で神戸三宮に行ってきた。そこに、結構にぎやかな通りに面して立つ三宮神社(さんのみやじんじゃ)というのがあって、ちょこっと覗いてみた。小ぶりな神社だが、天照大神が産んだ五男三女のうち、三番目の神様(湍津姫命:たきつひめのみこと=水の神)をお祭りしているとのことであった。
その神社の境内に「史蹟 神戸事件発生地碑」があり、大砲も置かれている。三宮備前兵事件とも言われている。1868年(慶応4年)1月、岡山藩(備前藩)兵と米仏の外国兵とが衝突、銃撃戦になった。事の発端は、岡山藩の行列を米仏兵が横切ろうとし制止されたことに対し、そばにいたイギリス兵が銃を構えたことから騒動になり、岡山藩兵がイギリス兵に銃撃を加えたため、米英仏の兵隊が応戦することになった。最終的には、日本の新政府が非を認め陳謝し、発砲を指揮した士官の死刑(切腹)を以って事を収めた。心底に残っていた尊皇攘夷の精神が起こした事件ではないか。
神戸に行く前々日の22日には、東京でインドのマンモハン・シン首相を歓迎する日本経済団体連合会主催のビジネスランチで、同首相のスピーチ(21世紀における日印経済関係)を聞いた。ゆっくり時間をとり、非常に丁寧なスピーチだった。同首相は最後のところで、「インドは、人材の質や伝統を重んじる日本式経営方式を学びたい」と真摯な姿勢で語られていた。
一方、間近に迫った米大統領選の民主党候補者であるオバマ氏は、記者団とのインタビューで「新政権は、米国で活発な活動を行っているインド人コミュニティーとの絆を強め、我々が希求する変化「the change」を共に成し遂げたい」と発言し、「我々は自国経済のみを保護することなど出来ないし、またすべきではない」とも述べている(The Hindu, 2008.10.24)。
少子高齢化を迎える日本は、好むと好まざるとにかかわらず、世界各国との共存共栄を図っていかなければならないのではないか。その際やはり、海外で評価されている日本の良いところをどんどん欲しい人や国に提供し、日本の不足する人的、物的資源などを逆に提供してもらう。その際、日本の利得を少しは引っ込めることも必要になろう。さもないと、知らぬうちに世界経済から孤立し、進化を忘れたガラパゴス諸島の生き物と同じ運命をたどることになりかねない。
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