2008.07.27

インド経済の将来性

信任投票終了後、議会で勝利演説するシン首相

日印経済委員会主催のインド財務省スバラオ次官との懇談会が先週末の25日、東商ビルで開催された。スバラオ次官にはODA等担当のクマール・サンジャイ・クリシュナ局長が随伴して来日していた。

財務省次官との懇談会となれば、衆目の一致するところ聞きたいのは「世界経済の減速がインド経済の成長にどこまで影響し、今後どの程度の経済成長が望めるのか」ということだろう。日本流で言うインド上級公務員試験に同期の一番で通り、経済学博士でもある次官の答えは、優等生的なものそのものであった。

参考までにかいつまんで要点を言えば、90年代の経済改革を通してインドもグローバライゼーションを経験してきており、世界経済から孤立して成長するわけには行かなくなってきている。したがって、世界経済の減速に影響を受けざるを得ない点は否めない。しかしながら、インドは内需主導型の経済成長を遂げており、その点からすれば、輸出主導型の国などより影響は軽微である、となる。

真ん中がスバラオ次官。その向かって右側がクリシュナ局長で、左隣がシン駐日インド大使。


そして、短期的には影響を受けても、長期的に見ればインド経済は8%+αの成長を期待していただいて良いとの自信を覗かせ、現在二桁台のインフレ率(WPI=卸売物価指数)も、年明けの2009年初めには一桁まで低下するとの見通しを示した。その際、インドにとって長期的に重要なことは、(1)経済改革を一層推進し、(2)経営の効率化を図り、(3)投資の増大につなげること、と説明した。そして最後に、インドの成長は製造業の発展如何に掛かっていると結んだ。

官僚のトップでもあり、言えなかったのであろうが、上記前提は一に掛かって政治の意志次第と言うことではないか。今月22日の内閣信任投票で信任を得たマンモハン・シン首相がどこまでその信任に応えることができるか。巷では、「金で買った信任」とまで言われている。高潔無私といわれるシン首相がそういった世評にどう応えるか。信任に胡坐をかいて一年を切った任期を過ごすのか。そこまで言われたらと、汚名をそぐため政権を投げ打ってまでと頑張るか。盛夏が終わりを告げる秋口までには、その根性を見せていただきたいものだ。

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