『言葉が権力者に届かない』
何だかだ、いろいろ言われるが、結構NHKは良い番組を作っている。スポンサーにおもねる必要もないからか。
昨日のETV(夜10時から1時間)の「ソルジェニーツィン」も良かった。ロシアの権力者が最も恐れた作家であり、その影響力はロシア大統領を上回った。印象的だったのは、ソルジェニーツィンの妻、ナターリア夫人の言った「(私達庶民の)言葉が権力者に届かない」という訴えだ。恐らく、届いてはいるが、それを実行しない政治家や官僚への婉曲的な非難の言葉ではないか。その根源にある、最大の問題は「汚職」とも明言した。そのため、資源高騰でロシア経済は潤ったが、貧困格差は解消されていない。
インドも同様だ。為政者はきれいごとを言うが、その裏で行われているのはカネ(賄賂)の分配密談だろう。インドの知人に言わせると、現内閣は支離滅裂でばらばら、誰もマンモハン・シン首相の言うことなどどこ吹く風と、耳を貸さないらしい(聞いているふりはしている)。で、どちらに耳を傾けているかといえば、ソニア・ガンディー国民会議派総裁の意向である。内閣がまとまるはずもない所以だ。
内閣がばらばらである点に関していえば、わが国も負けてはいない。これだけは世界に誇れる(?)。菅首相は(逆説的に)「戦後最強の首相」になったと。なのに、日本経済は20年の低迷(デフレ)を経ても、再浮上の見通しが立たない。
一方のインドは、自堕落な政治に不満を漏らしながらも、それなりに前向きだ。何が違うのだろうか。
フランスの哲学者であり作家でもあったサルトルは、二回の世界大戦や東西(共産主義vs.資本主義)冷戦、ベトナム戦争などで繰り返される人間同士の殺戮に絶望しつつも、「人間とは希望」であり、「未来である」と語っていたらしい。
必要なのは、政府が何かしてくれるなどと甘い期待を持つのではなく、自分自身で「希望」と「未来」を取りに行くことなのかもしれない。ソルジェニーツィンの言った言葉(「自ら努力しない者は、個人として存在する資格がない」)が、胸に突き刺さった。
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