「Yes教育」と「No教育」
「教育は国防だ」と言ったのは43歳の若さで米国大統領になった故ケネディーである。何も、巨額の金を軍事費につぎ込むだけが国防ではない。その心は、世界情勢を的確に分析し、自国のあり方を見定め、お金を有効に使うのは人間だから、と言うことだったらしい。そのため、人材育成が重要と考え、若者をどんどん海外に行かせた。自分の目で見て、物事を自分で判断する資質を養わすことが重要だと考え、そのため国防教育予算まで成立させている。
基本にあるのは、若者が自分で前に進むような環境を整えてやる、すなわち「Yes, you can do it. Why don’t you do it(出来るよ、やってみなさい)」の精神ではないか。あれやっちゃダメとか、それやっちゃダメとか、こうしなさいとか、ああしなさいとか、始めから指示や回答を与えてしまう、身動きできないような教育では若者は育たない。いや、育つだろうが、自分の判断では生きていけない若者が育ってしまう。
英文学者の外山滋比呂氏が「思考の整理学」で「グライダー人間」と呼んでいるものがそれに当てはまる。グライダーは自力では空を飛べない。引っ張ってもらい、空に舞い上がらせてもらって初めて飛ぶことが出来る。さもないと、じっと待機しているだけである。少子高齢化が進む日本で、そういった人材が育ってこないと、外に頼らざるを得なくなる。奥田碩・トヨタ自動車取締役相談役が「日本人が苦手な独創性を外国人で補完できる」(日経7月18日:「人こと」欄)と言っているが、さびしい限りではないか。
何度も書いているが、今の日本の子供たちが社会に出て働き始める頃、同年代のインドの若者は16,7倍になっている。多勢に無勢である。これに独創性まで補ってもらうとしたら、日本はどうなってしまうのだろうか。「危うし鞍馬天狗」(団塊の世代しか分からない表現?)などとのんきなことを言ってはいられない。日本の子供にインド人の16,7倍の独創性(付加価値)を持たせられる教育をするか、今から外(インド等、諸外国)を頼りにするシステムを導入するかだが、日本の教育界の混乱状況を見ていると、後者にならざるを得ないように思えてくるのが残念だ。
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