州選挙惨敗、国民会議派のやるべきことは
「我々に欠けていたものは何だったのか、真摯に反省すべきは反省したい」。12月8日に開票された5州議会選挙で壊滅的打撃を受けた国民会議派のソニア・ガンディー総裁の弁だ。彼女はまだ分かっていないのか、それとも私の考え方が浅薄なのか、と思った。腐敗にまみれ、犯罪行為までしておきながら「自分の目の黒いうちには裁判だって終らないだろうから、適当に甘い汁を吸い続けられる」と、ほくそ笑む多数の国会議員を抱え、そうした彼らに囲まれながら改革を訴えたところで、最早民衆、特に若年層は動かせない。傷口が広がるだけだ。
反省する時期はとっくに過ぎている。今はより明確な判断を下すときだろう。すなわち、従来の万民受けする口先だけの政策提言を糊塗したバラマキ政策は完全に間違っていた。国の経済や国庫を疲弊させ、若者国家の土台作りどころかインドの将来には不適切な対処療法でしかなかった、と。
国民会議派としてなすべきことは何だったのか。政治の矢面に立って国民をリードすることを躊躇しているNo.2のラフル・ガンディーを引っ込め、彼の親衛隊から比較的若手の有能な人物を首相候補に就け、母親と共にその人物の後ろ盾となることだった。そして、マンモハン・シン首相が選挙公約に使って果たせていない「インドから貧困を撲滅する」などといった空手形で民衆を釣るのではなく、対抗馬となっているモディ・グジャラート州首相(インド人民党[BJP]の首相候補)と同じ経済政策を訴えればいい。モディの人気がいかに高いとはいえ、国政選挙で他州、とりわけ南東部、地方や年配者、そしてムスリム票をどこまで獲得できるかは未知数だ。来年5月までに予定されている総選挙でBJPが勝ったとしても過半数を取れなければその結果は脆弱な連合政権となり、早晩総選挙のやり直しだろう。インドにとっては最悪のシナリオだ。
今、勢いに乗るモディにもアキレス腱はある。そこを突くのが勝負の常套手段だろう。国民会議派は全国規模での地盤があり、腐っても鯛だ。ヒンドゥーとムスリムの衝突を避け、改心してインドを立て直す気概を国民に分からしめるのだ。その為には不正を隠蔽している重鎮の1人や2人をみせしめに俎上に載せ、古傷を抱える老兵には引退の引導を渡し、解党的やり直しを断行することだろう。
もし、ソニアが母として息子ラフルの将来を思い悩んでいるのだとしたら、そしてガンディー家の威厳を保ちつつインド政界の表舞台から退くしかないと判断したのなら、今回は天がくれた最後のチャンスかもしれない。何よりも6億人を超す若者に「明日という未来」をプレゼントすることで、あらゆる抵抗勢力を黙らせ、ガンディー家はインド史に燦然たる足跡を残すことになる。ソニアはそれ以上の何を望むのか。私ならそれで大満足だ。
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