狂ったシナリオ、が好機を生む?―インド経済復活への道
本来のソニア・ガンディー国民会議派総裁の思惑は次のようなものだったはずだ。すなわち、今年3月に行われたウッタル・プラデシュ(UP)州(ソニア、ラフルの下院議員選挙区がある州)の州議会選挙である程度の成功を収め、息子のラフル・ガンディー国民会議派幹事長を首相適任者に仕立て上げる。その上で、今月予定されている大統領選挙にマンモハン・シン首相を横滑り(首相辞任)させ、周囲の強い要望に抗し切れずラフルが首相に就任する。ソニア自身は従来同様Janpath 10(ガンディー家の居宅のある番地で、重要会議はここで行われる)から実質的に政治を主導する。
このシナリオがUP州の州議会選敗北で水泡に帰した。その間、インフレが高止まりする中で金利を引き下げたものの、経済活動が改善する気配はない。その上、外資によるインフラ投資と農産物などの食品流通網の整備ができ、インフレ鎮圧に効果が期待され、一旦閣議決定までした「マルチブランドの小売を外資に開放」という政策も、閣外協力政党などの揺さぶりで棚上げせざるを得なかった。マンモハン・シン内閣は、「政策実施の出来ない政府」という不名誉なレッテルまで貼られている。
そこで考えだされたのが、シン首相と不仲で政策実施の足かせになっていると思われていた国民会議派の重鎮で現財務相ムカジーの大統領職への放逐である。強力な競争相手がいない現状では、ムカジーの経歴を以ってすれば大統領選勝利はまず間違いない。大統領(国家元首だが政治的な発言力はない名誉職)になれば実質的な政界引退となり、シン首相は政策実施でフリーハンドを得ることになる。勘ぐれば、ソニアが猫の首に鈴を付けたのではないか。このまま国民会議派の凋落(シン首相とムカジー財務相の確執)を引きずるか、首相になる目がない(自分=ソニアはさせるつもりはない)のだから政界引退の花道として大統領職を取るか、と迫ったのではないか。その結果、ムカジー氏は後者を選択した。そうするとすかさず、モンテック・シン・アルワリア計画委員会副委員長(委員長はマンモハン・シン首相)が、懸案だった諸政策が大統領選挙後(ムカジー政界引退後)には実施に移されるだろうとの希望的アドバルーンを上げだした。その一方でアルワリアは、この4月から始まった第12次5カ年計画(2012/4-2017/3)で年平均9%の成長を達成するのは困難と発言。その心は、「我々に経済改革を進めさせろ、さもないと・・・」ということか。5カ年計画の成立を今年9月とみるアルワリアは、そこまでシン首相に財務相を兼任してもらい、その後を引き継ぎ本格的な経済改革にまい進する。
セカンドベストであったシナリオが、本筋であったように思えてくる。予想通りにことが運べば、インド経済は今年後半から反転の気配を見せる可能性が出てきた。与党国民会議派は2014年の総選挙に向けた最期の挑戦ゾーンに突入した。
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