解せぬインド中銀金融政策
インド中央銀行(RBI)が今日、今年度(2012/4-2013/3)第一四半期の金融政策レビューを発表した。政策金利であるレポ金利(現行8%)と現金準備率(CRR:現行4.75%)には手を付けず、法定流動性比率(SLR)のみ1ポイント引き下げ23%(8月11日実施)とした。
スバラオRBI総裁は同日のプレスリリースで「金融政策の注力事項は物価上昇阻止であり、適度な物価上昇が持続可能な中期的経済成長の前提となる」と明言している。しかし、この金融政策にはどうも合点がいかない。2桁のインフレ率を記録しているのは食品や燃料などで、工業製品は適度なインフレ率ともいえる5%台だ。RBIはインフレ退治の名の下に13回の利上げを行ったが効き目が無かった。それが経済失速をもたらした要因の一部にもなっている。その一方で、1日1ドル以下で2億人もの人が生活し、5人に一人が栄養失調といわれている。しかし、食い物が無いかといわれれば“No”である。穀物の保管施設が不十分なため、数百万トンの穀物が雨やネズミなどの被害で食べられなくなる危険にさらされている。
保管施設を完備し、流通システムを整備すればどれだけの人命が救われるか。そういった食料供給システムの抜本的改革はやらずに、廃棄処分になった分値上がりした食品供給のために補助金をばら撒き、国家財政の赤字を増やし続ける。まったく理解に苦しむ所業だ。門外漢には、まさに目の前の事象に反応するだけの対処療法(政治的ポピュリズム)をやっているとしか思えない。
お世継ぎと目されている国民会議派のラフル・ガンディー幹事長やご母堂のソニア・ガンディー国民会議派総裁は一体何を考えているのやら。まさにチャンス到来ではないか。国家財政建て直しと弱者救済の大義名分の下、大鉈を振るったらいい。その際には、国民隅々への十分な説明が必要だ。その上で、文句あるなら代替案を出してみろと、大見得を切ったらいい。事ここに至っても行動を起こさないなら、良識有る人からは見捨てられるのが落ちだ。「そんなことは十分承知の上だが、それが出来ないのがインドです」なんて言われたら、「勝手にしてよ」がまっとうな返事でしょうか。
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