2009.02.22

人口構成が教えるニュー・ビジネス

AIIMS(All India Institute of Medical Science:インド最高位の国立病院。1月にはシン首相が心臓のバイパス手術を受けている)の道路を隔てた反対側に林立する薬局。医薬品を求める人だかりがすごい。

少子高齢化する日本で、今後増加する年金受給者が医師の処方箋を携え高価な新薬のみを求めて薬局に出向いたらどうなるか。厚労省の資金(我々の税金)が続かなくなる。一方、インドのような若者大国で生まれてくる中間層が医薬品を求めた場合、果たして高価な新薬を買うだけの懐の余裕があるだろうか。

ではどうするかだが、新薬の開発とともに、新薬に代わる後発薬(特許切れ成分を使う安価なジェネリック医薬品)の製造・販売にも力を入れる体制を築くのが正解ではないか。日本でのジェネリック普及率は10%台で、他の先進国(30-40%)の水準からは遠く離れているから、厚労省はジェネリックの普及に力を入れ始めている。また、新興国インドの人口は、概算で25歳未満が5億5千万人いることから、毎年2千2百万人からの成人が生まれることになる。インドなども経済自由化の恩恵を受けて日常必需品などが買える中間層が増え、民度が上がってきているので、医薬品を求める層も拡大しつつある。ただし、廉価品が販売の主流になろう。

現在の世界の医薬品市場は2007年で6,635億ドル(現在相場で約62兆円)。その内の約80%を先進国が占め、新興国の代表格BRICsが占める割合は6%(約3.7兆円)程度らしい。しかし、医薬品市場の成長率に関していえば、先進国の一桁台に対し、新興国は2桁台となる。この点が重要で、ただ今現在から今後10年から20年経ったときの状況を考えた投資戦略が必要となる。

今後大きく伸びる産業に環境関連と健康関連が挙げられる。環境関連では新技術の開発が、健康関連では各国の人口構成がビジネスの観点からは大きな要素だ。この辺を勘案し、国別事情等も十分考慮に入れた経営資源の投入が、企業の将来的生き残り戦略のポイントになるのではないか。

典型的なインドの薬局。真ん中の青年が薬剤師(資格を取るのに3年掛かるそうで、薬局には必ず薬剤師一人以上配置することが義務付けられているとのこと)。「儲かって、儲かって仕方が無い」と、ご満悦だった。

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