新たな出発に向けて(最終回)
昨年秋のリーマン・ブラザースの破綻を機に、世界的金融危機が実体経済までをも蝕み、現在では「百年に一回」とまでいわれる世界的な経済危機の様相にまで発展してきている。そのさなか、米国では新たな期待を担ってアフリカ系黒人であるオバマ氏が新米大統領に就任するとともに、そうそうたる面々を経済関係の主要なポジションに据え、難業に挑もうとしている。
日本においても状況は同様で、多くの経営者が「景気の底が見えない」との不安を持ち、産業界全般において、かつて無い非常に厳しい状況が出現している。そのため日本政府は、2009年度予算成立とともに事業規模で総額七十五兆円に上る景気対策を現実化することでこの難局を乗り切ろうとしている。
翻って、先進国とのデカップリングがもっともらしく語られた新興国経済も必ずしも例外たりえず、インドもその余波を受けて経済が減速基調に入っている。過去5年間9%近い経済成長を遂げてきたが、ここ一二年は6%前後にまで落ち込むとの予測もある。しかしながら、成熟化し経済全体が痛んでしまった先進国と違いインドの場合には、まだまだ経済が発展・拡大する余力は十分に残されているのではないか。
12億人にならんとする未開拓で広大な市場、英語をネイティブ並みに話す豊富で優秀な労働力、輸出基地としての地理的メリットや民主国家としての高い政治の安定度など、多くの利点を上げることができる。しかしながら、そういった利点を有効に生かす機会(労働市場)の創出ができない場合には、巨大な人口が大きな負担となる。インド喫緊の課題とは、社会インフラの整備を進めるとともに、人口の半分が25歳未満といわれる若者労働力を吸収できる産業の基盤整備を、いかに迅速に進めるかだ。
そういったインド、そしてインドの人とビジネスをおこなう上で参考になるようなことをお伝えできればと、駄文をかれこれ約2年間書き続けてきた。その間、こんなアプローチでよいものかと思案し続けて今日に至った。その結果、もう少し違った角度からのものがあるのではないかと思い、一度このブログの筆を置くことにした。
今まで拙文をお読みいただいた皆様には心より感謝申し上げます。有り難うございました。また新たな発想の元、私個人の意見や感想の発信をしていきたいと思いますので、これからもよろしくご支援いただけますよう、お願い申し上げます。
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