インドの経済は大丈夫か?
原油価格が高騰し食糧品価格も上昇、貿易赤字が拡大する一方、インフレ率(卸売物価指数:WPI)も二桁台で推移、インドの経済はどうなるのかという不安が付きまとうので、国際収支という面から一寸レビューしてみたい。(右グラフを参照)
貿易収支そのものを見れば、2004年ごろを境に急増している。これは経済発展に伴う輸入増と原油高が主たる原因とみられる。それに呼応するように貿易外(ソフト産業などのサービス輸出等)も大幅な伸びを示している。しかし、輸入額の伸びが輸出額より大きいことから、経常収支(貿易収支+貿易外収支)の赤字幅は徐々に拡大傾向にある。
一方、インドへの直接投資や証券投資を表す資本収支の方はどうかというと、こちらの伸びはここ5年ほどで巨額なものになっている。なぜここ5年ほどかというと、インドは1998年、当時のバジパイ政権が核実験を行い、先進各国から経済制裁を受け外資の流入の伸びがストップしてしまったのである。その後2000年になり、各国が経済制裁を解き、インドへの投資が再開されたわけである。日本は、当時の森首相が2000年の8月に訪印、「日印グローバルパートナーシップの推進」で合意、同時に経済制裁も解除している。その後の外国からのインドへの投資は拡大の一途をたどっており、経常収支の赤字を大幅に上回る黒字となっている。資本収支の黒字は、言ってみればインドに対する期待の現れのようなもので、インドの国力が増すのに合わせた形で増加するものと考えられる。
今後だが、インドは自国で使用する原油の3/4を輸入に頼っていることから、インドの貿易収支改善は原油価格の動向次第と言えないでもないが、仮に今以上の水準への極端な上昇がなければ、サービス産業の輸出拡大と今後も大幅増加が見込まれる資本収支の黒字が加わり、インドの国際収支(総合収支)の黒字基調は変わらないものと思われる。経済にアップ・アンド・ダウンは付き物だが、インドは現状、国際収支面からの懸念は特段無く、経済成長率も8%前後で推移するとの見方ができることから、中長期的に見たインド経済の成長は期待していいのではないか。
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