2008.10.13

日印の国歌と国民性

今年8月、宮崎県の日向市で講演をさせていただいたときに、同地に日本国歌「君が代」に出てくる「細石(さざれいし)」があるというので見学させていただいた。大御神社(おおみじんじゃ)の境内西側奥にある「神座(かみくら)」といわれる岩がそうで、天孫降臨としてしられる天照大神(「いざなぎのみこと」の娘)の孫に当たる神様がお立ちになった石と伝えられている。周囲が30メートルあり、高さは4メートルという巨石で、日本最大級という触れ込みだった。

「細石」とは細かい石のことで、これが固結した岩石を礫(れき)岩、すなわち「いわお(巌)」というらしい。日本の国歌では、この細石が巌となってコケのむすまでの(相手方の)長寿・繁栄を願っているとの解釈がある。その他にもいろいろあるが、私流に選択させていただいた。他人を思いやる気持の表れが国歌となっているとも言えよう。

一方のインド国歌は、ノーベル文学賞受賞者であるインドの詩人タゴールによって作詞作曲され、1950年1月24日に国歌として認定された。こちらの方は、広大な土地に多民族、多宗教の人たちが住まう国の代表格であるインドをあらわしているかのごとく、地方や支配地域の国名、連なる山脈や聖なる河の名前が連呼され、それら(インド国土とそこに住まう人たち)の平和な統合を切望しているかのように思える。

両国の国歌を改めて読んでみて、それなりに国民性を教えてくれるものだと思った。

下記は、世界の国家(WORLD ANTHEM)に出ているインド国歌(インドの朝)の日本語訳です。

汝はすべての民の心の支配者
インドの運命を定める者
ドラビダ・ウトカラ・ベンガル地方の
パンジャブ国、シンジャブ国、グジャラート国
そしてマハラー国の民の心は、
汝の名によって目覚める
汝の名は、ヴィンドゥヤ山脈、
ヒマラヤ山脈の峰々にこだまし
ジャムナ川とガンジス川の調べにまざり合い
インド洋の波の調べに歌われる
みな汝の恩恵を求めて祈り、
賛美の歌を口すさむ
人々の救いは汝の手中にあり
インドの運命を定める者
汝に勝利あれ!

日向のお伊勢様、といわれる大御神社のさざれ石(神座)

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