世界経済の牽引を新興国が先進国から引き継いだ年
今年も暮れようとしている。時間の経つのがなんと早いことか。いろいろな変化はあったが、今年はどうも世界の潮流が変わった節目の年のような気がする。国際通貨基金(IMF)の統計(2006年)によれば、中国の世界経済への寄与度は米国の2.9倍、インドも米国を上回る。日本の貢献は中国の十二分の一に過ぎない。(日経2007年12月22日)
インドに関して言えば、今年はカラム大統領の著した「インド2020(2020年までにはインドは先進国になる)」に向けた飛翔のためのスプリングボードに乗った、歴史的な年になるのではないだろうか。政治面では、印米民生用核技術供与が締結され、中印初の合同演習も実施された。インド空軍機が中国の地に着陸した(12月19日)のは史上初とのことだ。
ただ、これだけをもってして、国境問題を始めとした中印の諸政治問題の解決が進むなどと単純に考えるわけにはいかないが、アジアを代表する二大国間で、大きな変化が起こっていることは否めない事実だ。2000年には20億ドル足らずだった印中の年間貿易額は、今年の前半(07年1-6月)だけで172億ドルと、前年の5割り増し以上だ。エネルギー問題も然り。地球温暖化問題などへの取り組みも、最早中国と共にインド抜きでは無理なことが明確になった。
経済(ビジネス)面は多言を要しないような気がする。ムンバイの代表的株価指数(SENSEX)が2万の大台乗せ(3年前の約4倍)、スズキの逆転(2007年4月-9月の販売台数がインド33万台で、日本が31万台)、トヨタの日本以外で初となる工業学校の設立、タタの英蘭コーラス買収(1兆円超)に代表される大型M&A等インド企業の対外進出の黎明、インドにやっと目覚めた日本企業の動きの活発化、マスコミも然り、などなど。
その一方で、人口の三分の一が貧困層という事実にインドはどう対応していくのか。飛躍の緒に就くと共に、それを阻む大きな障害のあることも事実だ。そういった大きな障害を乗り越えてインドが先進国への道を歩み続けていけるのか。今後いかにインドが未来に向けて飛翔していくのか。とにかく今年は「インドが飛び立った年」に違いない。願わくは、空中に大きな繁栄の弧を描いて欲しいものである。
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