労働制度改革-小さな歩みを大きくする試みの始まり
インド大統領が11月7日付で、ラジャスタン州政府から出されていた労働法関連改正に承認を与えた。
改正された主たる法律は「1947年産業紛争法(the Industrial Disputes Act, 1947)」、「1970年契約労働法(the Contract Labor Act,1970)」と「1947年工場法(the Factories Act, 1947)」である。
この中で画期的なのは産業紛争法の改定で、従来従業員100人未満の企業にしか与えられていなかった政府の事前許可なしでの人員整理の基準が緩和され、今後は300人未満の企業まで無許可でリストラが出来ることになった。
今後インド政府は「国家労働諮問委員会」により2002年に出だされた答申に沿った改革を進めるとのことだ。現存する44の労働関連法を「賃金」「社会保障」「安全」「福利厚生」と「労働環境」の5分野に分類し、明確な定義付けを行い、曖昧さを排除していくとしている。
これまでの政権は、時間と金を掛けた諮問委員会の答申を10年以上もたなざらしにしていたわけで、労働関連法規の改革に手を付けただけでも前進だ。
規制がいかに労働意欲を殺ぎ、賄賂のやり取りも含めた不必要な時間と金の喪失をもたらしているかは、火を見るより明らかだ。
公務員の体たらくは目を覆うばかりだが、やる気を出すような(真面目な人が真面目に働こうと思えるような)労働環境を整えれば、インドの生産性は相当上がるだろう。
最近の事例だが、インド首相府に生体認証技術を用いた出退勤管理システムを導入したら、7割強の職員が定時に出勤していないことが判明したらしい。まあ、想像に難くはないが、そういった連中は言葉で諭しても無理で、公平な機械システムの導入が必要になる。この辺なんか日本の技術の出番だろう。
私が東京銀行(現、三菱東京UFJ銀行)ニューデリー支店勤務時代の預金課長(現地人)の奥さんはインド中央銀行ニューデリー支店勤務をしていたが、皆で示し合わせ、早退や無断欠勤を公然としていたらしい。同課長は悪びれずに言ったものだ。「Mr. Shimada、中銀なんて3割ぐらい人を減らしても業務に支障は出ない」と。
モディの改革が3割でも功を奏したら、インドは大変革を遂げるだろう。
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