禁酒州(Dry State)で、お酒を呑む
スズキやホンダを始め、最近日本企業の進出でにぎわっている州にグジャラートがある。
マハトマ・ガンディー生誕の地である同州は、また、Dry State(禁酒州)として、また極暑地としても知られている。今年5月19日にはスズキが工場建設している同州メーサナ地区で摂氏48度を記録、現地新聞のトップページの見出しは“SUN BURNS GUJURAT(グジャラートを焦がす太陽)”となっていた。
そんな土地での一日が終わった後は、良く冷えたビールをグッとやりたいものだが、そこはドライ・ステート(禁酒州)なので「残念」ということになるわけだが、それは公の場所だけでの話し。
ギネスブックものの温度を記録したころ私もグジャラートにいたのだが、宿泊したホテルのシャワールームの壁に貼られた注意書きを見て、どこも一緒ジャン、とほほが緩んだ。
そこには“Please do not take a shower or use bathtub under the influence of alcohol”と書かれていた。すなわち、「酒気帯び入浴禁止」のお触れである。公の場所ではダメでも、ホテルの自室や私的な場所での飲酒まで禁じているわけではないのだ。実際、グジャラート州最大の都市であるアーメダバード市の国際空港の出口にはアルコール販売店があり、外国人はウイスキー2本まで買える。また同市内には、州政府公認の酒類販売店が二つあり、許可書を持参すれば結構な量のアルコール類が購入できる。私のインドの友人などは、自分のライセンスだけでは足りないと、未使用枠をたくさん持っている父親を連れて酒を買いにいく。したがって、自宅には飲みきれないほどのアルコール類(ビール、ウイスキーやもらった日本酒、等など)が保存されている。
建前と本音が真逆の国、というか、世の中ってどこ行ってもそんなもんじゃないの、とひねくれてもみたくなる。11月の米大統領選挙の民主、共和両党候補が決まったが、双方の非難合戦は、これが世界最強の国のトップになる人たちかと首を傾げたくなるほど酷い。己が聖人君子とでも思っているのだろうか。まさに顔には「世界最高水準の偽善者」との張り紙がしてあるようだ。
そうしてみると、グジャラートのホテルの張り紙とさして変わるところもないなと思われた。
表向きどのような表現がなされていようが、モノには表裏があることをよくよく認識せよ、とガンディーさんが教えてくれているようなもの、なのかもしれない。
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