止血と漸進的改革
モディが首相になって半年近くが経とうとしている。
彼が首相になれば、矢継ぎ早の改革が実行に移され、変化するインドが連続写真のように見えてくるのでは、と思った人も多かったのではないか。
選挙期間中のエネルギッシュな彼の行動を見ていると、首相になったらインドをぶっ壊してしまうのではないか、とも思えるほどだった。
しかし、一回首相に納まってしまうと、その行動は至って静かなものになった。
まさに動から静への大変換である。しかし、水面下で起こしている地殻変動が地表に出てきたときには、相当のエネルギーとなってその効果を現すのではないか。
私は、そこに至るまでの期間を「止血期間」と呼ぶ。
今週の月曜日午後10時から放映されたNHKの「プロフェッショナル」は革命的歯科医の話だった。35年掛けて「歯科医とは歯を治す人ではなく、虫歯にさせない指導が出来る人」という概念を確立させた。
彼は虫歯治療に来た人に根本的な課題、即ち歯磨きの励行、それも歯間クリーナー(歯間ブラシやデンタルフロス)を使ったプラーク(歯垢)の除去を徹底させ、口内ケアがOKになった時点で治療を始める。さもないと、一過性の治療に終わり、その人はその後また虫歯に苦しむことになる。
しかし、患者としては口内ケアなんかどうでもいいから、早く痛い歯の治療をしてくれと要求する。それに負けていると歯科医本来の仕事(虫歯を作らせない)が出来ないことになる。
モディがやろうとしていることも同様だ。事が起こってからの対症療法ではなく、事を起こさないためのシステムを作る。そのためには土台を根本から作り直す必要がある。相当の荒療治が必要だろうし、時間も掛かる。今までの為政者が避けてきた道に敢えて踏み込もうとしている。まだその緒に就いたばかりであることを理解する必要がある。
それでも、ここ数カ月間で起こったことを垣間見るだけで、地下マグマの大きさを予感させる。その辺は次回以降で徐々に触れていきます。
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