2007.11.12

逆転、日印の販売台数

日本の自動車メーカーの日本での半年間の販売台数よりも、その会社のインド子会社がインドで販売した台数のほうが多かったと言っても、事情の分かる人以外は本気にしないかもしれませんね。その余り本当ではなさそうなことが、実際に起こっているのです。

子会社の名前は「マルチ・スズキ・インディア(以下マルチ)」、親会社は当然のことながら、「スズキ」です。今年の4月から9月までの販売台数は、概算でマルチが33万6千台、スズキは31万5千台です。もっと驚くことがあります。2006年度(2006年4月~07年3月)のスズキの連結純利益は約750億円でしたが、そのうちの7割近い純利益をインド子会社が稼いでいます。その一方で、スズキの連結総売り上げに占めるマルチの売上割合は、高々15%程度です。インド子会社の利益率の高さに驚かされます。こうなったら、スズキはインドに本社を移してしまっても良いかもしれません。

私の知人で、同様のことを考えているIT関係会社の社長がいます。未上場の新興IT企業ですが、急成長しており、2010年の上場を目指しています。その社長がインドのIT企業に投資したり、不動産案件(ビジネスホテル経営)などを手掛けたいと、具体的な行動に出ているのです。その理由と、私の言うスズキのインドへの本社移転の意味合いがダブっており、驚かされました。どういうことかといいますと、長い目で見たとき、日本経済の拡大は望み薄で、下手をすると他のアジア諸国(特にインド等)に置いていかれてしまうかもしれない。その関連で、自社の日本での経営も安閑としてはいられない時期がきっと来るはずで、そのときは日本脱出も考えないといけない、と。そのために今から布石を打っておこうということなのです。

世界がどんどんフラット化していく中で、一国の経済が生み出す力というか、その拡大拠点が先進国から新興国へと移っていくとすると、それを先取りした戦略があってしかるべし、ということでしょうか。常に日本を中心に据えたビジネス志向から、将来的に経済拡大の可能性の大きな国を中心としたビジネス志向への発想の転換が、必要になってきているのかも知れませんね。

スズキの鈴木修会長とマルチ・ウドヨグインド火力発電公社(現マルチ・スズキ)の元社長バルガバ氏
修会長は、「この人がいたから、マルチはインド最大の自動車会社になれました」とおっしゃり、バルガバ氏にしなだれ掛かられました。また、「私は身も心もインドに捧げました」とも。この写真は、バルガバ氏著「スズキのインド戦略」(中経出版)の翻訳出版に際し、冒頭掲載用の両氏対談を司会したときに私(島田)が撮ったものです。

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