2007.09.10

モンスーンと農業生産とGDP

台風到来で暗雲立ち込める空
(御茶ノ水駅前より撮影)

先週大型台風9号が日本を襲いました。死者も出て、大きな被害が各地で起こりました。収穫を前にしたナシが無残にも地面にたたき落された現場をテレビで見ましたが、精魂こめて育成した方たちのやりきれない気持ちは、第三者には到底分かるものでは無いでしょう。

同様にインドでもモンスーンの季節になると各地で洪水が起こり、毎年同じように死者が出て、大災害につながります。でも一方で、灌漑設備の進んでいないインドでの農業は、このモンスーン(雨)頼みといったところがあります。死者の使いでもあり、恵みの雨でもあるのです。

下記の表でも分かると思いますが、農業が好調だとインドの経済成長、すなわち国内総生産(GDP)も大きく伸びます。というのも、91年の経済自由化以降、工業生産とサービス産業の伸びが好調で、これらは余り天候に左右されません。したがって、インドがこれからも高成長を持続できるか否かは、農業成長率に掛かっているといっても過言ではありません。

その際、インド政府に必要なのは、従来のばらまき(補助金)政策をやめて、灌漑施設の充実や農産物の備蓄施設などの農業インフラに資金を回すことでしょう。私には、インドの国会議員が票目当てのばらまき政策を行い、インドの長期的国益を無にしているように思えてしかたありません。

インドの農業のGDP寄与率は2割程度ですが、農業に従事している人の数は総労働力の6割を超えます。言い換えれば、いかに非効率的な農業生産を行なっているかと言うことです。さらに、そういった農業をあきらめ、脱農を望んでいる農家が現状で40%もいると言われています。

今インドに必要なことは、無駄な農業関連補助金政策をやめて、農業生産の効率化を進めるためのインフラ整備を行い、それで余った労働力を第二次産業(製造業)に振り向け、国としての総合力を付けていくことではないかと思います。

 

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インドのGDP成長率 4.4 5.8 3.8 8.5 7.5 9.0
内、農業部門GDP成長率 0.0 6.2 ▲6.9 10.0 0.0 6.0
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