2008.04.28

インドで魚が売れ出した意味

先週のインド出張で、バンガロールにあるゲストハウス「アスカ」に宿泊したが、そこの日本人板前さんが、「最近マーケットの魚の売れ行きが上がっているそうですよ」と言っていたので、インドでも健康志向が一般人にも広がってきたのだと思った。

もう17年も前になるが、初めてインドの地を踏んだとき、「ベジタリアン(菜食主義者)が多い国なのに、なぜあんなに太っている人がいるのだ」と疑問に思ったが、間も無くその疑問も吹き飛んだ。野菜料理といっても、めっちゃ脂の浮いている料理や甘いもの(それも中途半端ではない甘さなのだ)をたらふく食べ、掃除や洗濯、果ては炊事に至るまで、体を動かす家の仕事は全てサーバント(使用人)任せ、これで太らなかったらウソになると完璧に納得した。その一方で、この国には健康管理なんていう言葉があるのか疑問に思ってしまった。その証拠に、5,6年前の新聞記事だったと思うが、首都圏の成人の6割ほどが心臓発作の危険にさらされ、糖尿病患者やその予備軍が相当いるとのことだった。メタボリックなんて生易しいものではない。男女を問わず、臨月を迎えているようなお腹の人がゴロゴロなのだ。

そんなインドでも、最近はかなり積極的に自分の体型維持を行なうようになってきている。例えば、インドではやっているものの一つに「スポーツジム」があり、かなりの普及率だ。また、若者の服装の変化も関係しているのではないか。ジーンズにブラウスでは、やはり体型が気になるから食事や運動にも気を使う。一方、国民服であるサリーだとウエストが入らないなんてことはなく、いかようにも調整が利く「ウエスト・フリー」だから、体型の変化がすぐには健康管理と結びつかない。また、新聞の宣伝に「Before, After」なるものが結構目に付く。すなわち、これだけの期間で、これだけ体重が落とせました、という類のものだ。こう見てくると、インドでもそろそろ日本食が普及しだすのかなと思えた。

ビジネス的にも、今後は健康志向を謳ったものが受けるのではないか。マーケットの魚の売れ行きからインドのビジネストレンドを読み取る。これがまさに「漁夫の利を得る」。一寸意味を取り違えているような。

それにしても、中国やインドの人が魚をガバガバ食べだしたら大変だ。何せ両国で世界の人口の1/3を占めるのだから。そんなわけで、その日の来ないうちに、せっせとすしでも食べておくことにした。

あらゆる階層向けのマーケットの鮮魚(?)店。鮮度は自分で見定める必要あり

中間所得者層以上向けのスパーの鮮魚売り場。並んでいる魚は、だいたい1キロ300ルピー(850円)くらい

インドでも名高い「スイーツ」のチエーン店。夕方になるとごった返し、身動きが取れなくなるくらいと言われている

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